薬剤耐性菌について~抗菌薬は正しく使用しましょう~
皆様お家のわんちゃん、ネコちゃんがケガをした、膀胱炎になった、皮膚がかゆいなどの症状で動物病院を受診した際、獣医師に『とりあえずお薬を飲んで様子を見ましょう』と言われた経験はありませんか?その時、どんなお薬を処方されたでしょうか?
今回は人の医療でも大変問題になっている薬剤耐性菌についてお話させていただきます。
~抗菌薬(抗生剤・抗生物質)とは?~
抗菌薬は細菌による感染症を治療するための薬です。使用する分野は幅広く、尿路感染症、肺炎、皮膚炎、消化器疾患、鼻炎、外傷、手術後の感染予防などに使用されます。
抗菌薬にはいくつか種類がありますが、全ての抗菌薬が全ての細菌に有効ではなく、細菌と抗菌薬には相性があります。
~薬剤耐性菌ってなに?~
薬剤耐性菌とは、抗菌薬に対して耐性を持った細菌のことです。抗菌薬を使い続けたことにより、細菌の薬に対する抵抗力が高くなり、薬が効かなくなる、もしくは効きにくくなります。
~薬剤耐性菌は何が問題なの?~
耐性菌が増えることにより抗菌薬が効かなくなってしまい、これまで適切に治療すれば軽症で回復できていた感染症が重症化しやすくなり、さらには死亡に至る可能性まで出てきてしまいます。
動物にできた薬剤耐性菌は人に移る可能性もあり、人の分野でも薬剤耐性菌は大変な問題になっています。
このままだと2050年には世界での薬剤耐性菌感染症による死亡者数は1000万人を超え、現在の死亡原因第一位であるがんによる死亡者数800万人を超えることになります。
~薬剤耐性菌の発生を防ぐには?~
・なるべく抗菌薬を使用しない・・・最近では軽い皮膚病の場合は薬用シャンプーで治療するなど、抗菌薬を使用せずに治療していく場合も多くなっています。
・外用薬を用いる・・・外用薬は内服薬に比べて薬剤耐性菌をつくりにくく、体に吸収される量もとても少なく済むため副作用も起こりにくいというメリットがあります。しかし、部位によっては動物が気にして舐めてしまうこともあるため注意が必要です。
・処方された抗菌薬は正しく飲み切り、自己判断で使用を中止しない・・・感染が起きている途中で抗菌薬の投与をやめたり、量を減らしたりしてしまうと、薬剤耐性菌は出現しやすくなります、必ず獣医師の指導のもと抗菌薬を使用しましょう。
~最後に~
抗菌薬は私たちが生きていくうえで不可欠なお薬です、病気の症状によっては抗菌薬を使用しなければ生活の質が落ちてしまったり、命に関わることもあります。
抗菌薬を絶対に使わないのではなく、その病気には本当に抗菌薬が必要なのかを考え、正しく使用していくことが重要です。
抗菌薬に限らず、お家の動物さんで何かご不安なことなどありましたらお気軽に当院スタッフまでお問合せください。
土日も診療 豊橋市の動物病院 セピどうぶつ病院でした🐶🐱