肝臓は、食物の消化を助ける消化酵素である胆汁を産生したり、炭水化物、蛋白質、脂質などの栄養分の代謝体内でいらなくなった物質の排泄や、解毒といった働きをしています。
以上のように、肝臓は生体にとって大切な機能を有しているため再生能力が非常に高く、また半分くらいの肝細胞が機能を失ってしまっても他の肝細胞が働くことにより肝機能を補うことができます。そのため肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれるくらい、ダメージを受けても症状が現れにくく、黄疸や食欲不振、元気消失などの症状が現れた時にはすでに肝細胞のほとんどがダメージを受けて重症化してしまっていることも多く見られます。

今回、肝臓に腫瘍が出来てしまった症例は、元気と食欲はあるけれども水をたくさん飲むようになり尿量が増えた気がするとの主訴で来院されました。
血液検査により肝数値の上昇と軽度の低血糖が認められ、レントゲン検査にて著しい肝臓の腫大化を認めたため、エコー検査を実施したところ肝臓に大きな腫瘍ができていることがわかりました。

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赤い丸で囲われた部分が腫瘍になります

幸いにも腫瘍は大きいながらも肝臓の一部に留まっていたため、飼主様との相談により手術で摘出することとなりました。肝臓の手術は出血が多くなりやすく危険性が高い手術であるため当院に来院していただいている理解ある飼主様に御協力頂き、大型犬の子から血液を分けてもらって輸血をしながら手術に臨みました。

 

手術は無事に終了し、手術をしたワンちゃんも次の日からたくさんご飯を食べてくれて元気に退院することができました。

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すごく大きな腫瘍でしたが、手術により無事切除する事が出来ました

肝臓に出来る腫瘍で多いものは、良性であれば結節性の過形成肝細胞腺腫、悪性の腫瘤では肝細胞癌血管肉腫リンパ腫などが挙げられます。
今回摘出した肝臓を病理検査に提出した結果は肝細胞癌との結果でした。肝細胞癌は肝臓の原発腫瘍の中でも一番高率に発生する悪性腫瘍です。肝細胞癌は悪性の腫瘍ではあるものの、転移しにくい癌であるため発見が早期で手術を行うことができれば比較的予後は良好なことが多いとされています。
ただ上述した通り肝臓の病気は症状が現れにくく、発見が遅れることも少なくないです。肝細胞癌は少しずつ大きくなり他の臓器を圧迫することにより食欲不振を呈したり、大きくなった腫瘍が破裂してしまい出血多量となるなど症状が現れた時にはすでに手遅れなことも多いため
飼主様の日頃の観察と定期的な健康診断が大切になってきます。
大切な“家族”について些細なことでも何か気になることがあればお気軽にご相談いただければと思います。